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【DEOSランタン】(2) 蝋燭ランタンのしくみ ー 100均部材で、SDGsなイケてる蝋燭ランタンをつくる

※この記事は「連載記事」です

 まず、蝋燭(ロウソク)ランタンのしくみを整理します。ロウソクにしくみの説明なんて必要ない? まあそうなんですが、知っている事や、来たことがある場所でも視点がや状況が変わると見えなくなることもある。そんなケースって意外と多いです。しくみを知れば、今回紹介する「100均部材でつくる、イケてる蝋燭ランタン」をカスタムして、さらに自分だけのランタンを持つこともできる。そして「そのランタンかわいいー!」と言われる可能性を高めましょう。褒められるのはあくまでもランタンですが。

蝋燭(ロウソク)のしくみ

 蝋燭のしくみは、言葉で説明するより図解を使ったほうがわかりやすいので、下のように図にしてみました。また、 お気に入りの女の子に言葉で説明するなら「芯に染み込んだロウが、熱で可燃性の気体になって芯の周囲で燃える」が短くて間違いじゃない説明ですが、それでもなんだか小難しい。ちなみに、ロウの原料は主にパラフィンという石油から分離された物質が使われているようです。つまりロウは固体燃料の一種です。

 

 さて、蝋燭が長く燃え続けるために、溶け出した液体状のロウを安定的に芯に供給したいです。その「蝋燭の燃費」のお話は後ほどで、その前に「温度、空気」について考えてみます。

 蝋燭の原理をもっと詳しく知りたい人は、適当にネットを調べてください。

温度について考える

 今度は温度です。こちらも「蝋燭ランタンのしくみ」に必要最低限な情報を、キャンプで必須のアクティビティ「焚き火」を例に考えてみます。(もっと詳しく知りたい人は、適当にアレしてください。)

 女の子に良いところを見せようと頑張るものの、焚き火への火付けのとき「火着かねー・・・」と、小さな種火に火吹き棒を使って呼気を拭き続けるという、ざまあみろなシーンをたまに見かけます。火付けの時の種火に呼気を吹き付けると「口からの空気」で種火が冷やされ消えてしまいます。また、強い空気を吹き付けると、種火から発生している可燃性の気体が拡散されてしまう。これじゃあ炎は灯りにくい。
 一般的な炎では、燃料となるモノに固有の「燃えるための温度」があります。その温度に達して酸素と反応すると炎が灯ります。いずれにしろ、十分に熱くしなければいけません。「温度を上げること」、それが炎を灯すための原則の一つです。

 ちなみに、火吹き棒を使う効果が高い時は、火種が強くなった時です。口から吹いた風なんかに負けないほど高温になり、可燃性の気体が風で拡散されてもどんどん発生するほど強い火種の場合です。

空気の流れを考える

 火吹き棒で火付けをする場合、空気を種火に直接吹かずに”種火の周囲の空気を優しく種火に押し出す”感じで吹きましょう。 火種の底から入った空気が暖められながら上昇し、火種にたどり着いた時に幸せになります。炎には温度が大切ということは、酸素も温かい方が良いということです

 オイル・ランタンで著名なハリケーンランタンは、「外気を暖めながら取り入れる空気の熱循環の性質を利用して効率よく酸素を吸入する」秀逸な構造と、オシャレな外観の機能美を持っています。一方で蝋燭ランタンの基本的な空気の流れも同様です。ハリケーンランタンのような「コールドブラスト=吸気を温める機構」とは異なる方法で、今回紹介する「イケてる・・・ランタン」は燃焼室の近くに部屋を設けて、わずかながらプレヒートを行うしくみにしてあります。

 そしてもう一つ、火種から発生する可燃性の気体を効果的に燃やしたい。そう、ガソリンエンジン車と同じで、蝋燭の燃費に繋がります。たまに蝋燭から黒いススが出ることがありますが、その原因の一つが、酸素不足による不完全燃焼によるものです。

蝋燭ランタンを効率よく灯したい

 格好良く焚き火の火付けをしたら、お待ちかね、あなたの「かわいいー!」ランタンの出番です。蝋燭ランタン独特の優しく揺らぐ灯火が、可愛いあの子の横顔を照らし続ける。そんな至福のときは長く続いて欲しい。ロマンのある状況だけに、お仏壇にそえるような細くて小さな蝋燭よりも、朝までビンビンに萌え続けてくれる太くて大きな蝋燭を選びたい。
 その時に大切なモノが「ロウ受け」です。この「ロウ受け」の形状や大きさと、蝋燭の大きさの関係は、蝋燭ランタンの燃費にとっても大切です。さらに、蝋燭を持ち忘れてしまい、キャンプ場に向かう道中のお店にある蝋燭で急場を凌ぐことだってある。ここのセンテンスのポイントは「ロウを効率よく燃料として燃やしたい」と、「ロウ受けは、色々なサイズの蝋燭に対応したい」です。

 しかし、大きく太い蝋燭を使うにも限度があります。そのために大きな受け皿を採用すると、ランタンのボディも大きくなる。しかし「100均部材で作ったランタン」というキャッチーな印象は保ちたい。蝋燭の燃費を考えると、本末転倒な堂々巡りが始まります。”ここがモノつくりのジレンマ”に陥りやすいパターン。目的とコンセプトの優先順位を忘れてはいけません。
「そのランタン、かわいいーー!」→「え?100均部材で作ったの?!」→「」→「未来への希望」
  これが、目的とコンセプト(断言)。
 そこで必要になる機能が「漏れたロウを、さらに受ける構造」です。これは、”燃費”の視点を変えた考え方です。 まさにSDGsな蝋燭ランタンになります。

 

こぼれ落ちたロウを再利用する、SDGs蝋燭ランタン

 蝋燭とロウ受けのサイズが決まっても、ランタンが傾いたりしてロウがこぼれ落ちてしまうこともあります。もしくは、見栄をはって男らしさを誇示する余り・・、まあともかく、市販の蝋燭でも芯が中心からずれていたり、真っ直ぐに格納されていないモノもあったりと、太い蝋燭ほど結構な確率でロウ受けから溶けたロウがこぼれ落ちてしまいます。そして、こぼれ落ちて固まったロウは、DIY蝋燭ランタンにとって厄介な存在になったり、単純にエコじゃない。このこぼれ落ちたロウをしっかり受けて、再利用できるしくみにしたい。まさにSDGsな蝋燭ランタンです。

 幼少の頃、日本の高度成長期を見てきた僕の世代は、当時の大人たちが「うりゃあー!作れ、使え、捨てて進めー!」と生きていた様子を見てきました。それはそれは途方もないパワーです。しかし今はSDGs。ポイ捨て、絶対ダメ!です。これが可愛いあの子をしとめる最後のキーワード。

「そのランタン、かわいいーー!」→「え?100均部材で作ったの?!」→「え?SDGsなの?!」→「明るい未来」

 いまどき、SDGsな男じゃないとはモテません。もしこれで、可愛いあの子をしとめられなくても、地球にとっては明るい未来 に貢献できます。それでいいんです。そのうちに別の良い子が見つかります。

100均一部材でつくる、蝋燭ランタン ー 大切なことのまとめ

  1. 溶け出した液体状のロウを安定的に芯に供給する
  2. 高い温度を維持
  3. 空気を(暖めながら)蝋燭に下から送る
  4. 蝋燭の大きさとランタン本体、作る部材のバランスを考えてロウソク受けを選ぶ
  5. 使われずに溶け落ちたロウを再利用

 話が脱線しますが、科学的な説明への興味が薄い人には、例えば「可燃性物質」は「可燃性の物質」と表現した方が専門用語感が低くなり”理解ハードル”が下がります。一方で「固体燃料」のように生活とそれほど離れた印象がない用語はそのままで良いかと。
 とは言え、あなたが作った蝋燭ランタンに興味を持った女の子に「熱で溶解したパラフィンが毛細管現象で芯に伝わり・・・」なんて話すと、顔が引きつり始めます。ウンチク話をするなら「ロウってパラフィンから出来ているんだよ」とシンプルに伝えましょう。”パラフィン”って音がちょっとポップで語呂が良い、男女問わず理科系と縁遠い人にとっては不思議と専門用語でもカタカナの方が耳慣れしやすいようです。「ちょっと頭が良さそう」な印象もあったりなかったり。良い印象を与えれば、その後の”ハードル”は下がります。

 しかし、言葉での説明以上に説得力がある方法は「実物を見せる」こと。DIYで作った蝋燭ランタンを見せながら、上の5つのポイントを説明すると、意外とウケるかもしれません。知らんけど。

 (次で「つくる編」に入ります。どんな部材を選ぶかを含めて解説します。)

前へ「100均部材で、本格仕様のイケてる蝋燭ランタンをつくる(1) ー つくる前に]

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※この記事は「連載記事」です

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