DEOS Tech note

人とモノの物語が、”つくる”の源

U-ZO

【DEOSランタン】(6)まとめ ー 100均部材で、SDGsなイケてる蝋燭ランタンをつくる

※この記事は「連載記事」です。 

 今回は、解説映像も凝ってみようということで動画を作成しました。カラグレとか超適当ですが、久しぶりに撮影用のランタン制作、シナリオ制作、撮影ロケ、編集まで、ほぼ1週間でつくりました。文章と同じで映像制作も物語が入ると楽しいですよね。
 そして、せっかく動画編集するのでHowto動画作品として作ることにしました。フルバージョンとショートバージョンに分けていますが、DEOSランタンの特徴もわかる動画はフルバージョンです。よろしければ御覧ください!。

Making動画 ロングバージョン
Making動画 ショートバージョン

 さて、DEOSランタンは、DIYを楽しみながらエコでSDGsで、ちょっぴり科学で着せ替えができて丸洗いもできる。そして、もしかしたらモテるかもしれない笑、という夢のあるコンセプトを持っていて、見方によれば「未来のアナログ・ランタン」です。

DEOSランタンの特徴

  1. 科学的な構造を踏襲。
  2. エネルギーの有効活用と再利用。
  3. カスタムやデザインが自由。
  4. 機能や役割を考慮した「モジュール構造」と「ユニバーサルな結合インターフェイス」。
燃え残ったロウを取り出す
ロウを再利用してロウソクをつくる
自由に着せ替えをする

「モジュール構造」と「ユニバーサルな結合インターフェイス」

 「モジュール」とは「部品」の事ですが、DEOSランタンが持つ「モジュール構造」では、つくる人や使う人が自由に設計したりカスタムできるように、モジュール同士の接続が一般で使われている汎用的なしくみを持っています。つまり、「ハット」「燃焼室」「台座」と、DEOSランタンは3つのモジュールがあり、それぞれが、ボトル缶のキャップや、ガラス瓶のキャップのねじ回し構造で接続できるようになっています。この構造が「ユニバーサルな結合インターフェイス」。こちらもカンタンですが図にしてみました。

 今回のDEOSランタンで「100均部材を使う」事を主題の一つにした理由は、「100円ショップ商品」というある種のユニバーサルな製品を部材として採用することで、誰でも作れる、誰でもカスタムできるということ。つまり、DEOSランタンが重視する「モジュール構造」と「ユニバーサルな結合インターフェイス」を安価でカンタンに採用するための方法の一つが、「100均部材」の採用です。

 そして、DEOSランタンは蝋燭ランタンとして作っていますが、オイルランタンやアルコールランタン、またはLEDランタンにカスタムすることだってできます。つまり、時代が変わっても常に修理やカスタムがカンタンに行なえるので、半永久的に使うことができます。DEOSランタンを”IoTランタン”に魔改造することだって可能でしょう。そして、DEOSランタンがSDGsである理由の一つが、この「モジュール構造」と「ユニバーサルな結合インターフェイス」で、僕が行うモノつくりで、できる限り拘る「リノベータブル(刷新性が高い)」な構造です

多ロットの製品生産と、DEOSランタン的な製品生産

 「持続可能性」がキーワードで、未来への投資指標として提言されているSDGsは、モノつくりに対しても対応をもとめていますが、実態としては製造過程における再生可能エネルギーの利用や、”地球に優しい”原材料の採用などの、材料やエネルギー分野の対応が多いようです。一方で「人によるモノの消費」に対しても未来に貢献し得るモノつくりができないか?。その考えの一つがDEOSランタンが採用する「モジュール構造」と「ユニバーサルな結合インターフェイス」です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

 DEOSランタンが描くモノつくりの未来は、従来の「多ロット製品生産」とは異なります。「多ロット製品生産」では、人が持つ嗜好性やニーズの平均値や最大公約数を「マーケティング・データ」として捉え、大量生産による製造効率や利益率を確保することが基本的な考えです。一方で、DEOSランタンの製品生産の考え方は、これまでDIYやオーダーメイドでしか成り立たなかった「一人ひとりの嗜好性やニーズ」に沿った製品生産を効率よく行う、というものです。そしてこれは、近年急激に成長しているAIテクノロジーが大きく関与するとも考えています。

「モジュール」はAIがつくる。「物語とモノ」は人がつくる。

  AIのように僕たちの価値観や生活がガラリと変わるであろうテクノロジーが登場すると、当然ながら困惑し混乱する人が多くなります。自分達の仕事や立場がなくなるのではないか、そんな心配をするのは当然だと思います。
 しかし、視点を変えると、新たなテクノロジーは「便利な道具」として効率よく使うことで、僕たちの生活は今まで以上に豊かになることは、先人達が築いてきた現代社会からも学ぶことができます。しかしそれは、「空飛ぶ自動車」や「超絶優秀なChatbot」等のテクノロジー・アウトプットの事を意味しているわけではありません。むしろ、これまでハイテクを扱える能力や資金を持つ人だけが作ることができたテクノロジー・アウトプットを、普通の人でも作ることさえできると考えています。

 ここ10-20年でも製品製造のカタチは大きく変わってきました。有名なところでは、Apple社長のティム・クックが導入したことでも有名なEMS(Electronics Manufacturing Service)は、まさに現代的な製品製造のカタチをつくりました。ファブレス企業のように企画力やアイデアを持つ人が、デバイス・メーカーとして起業することさえ可能になりました。
 一方で、手元にある電子製品を一旦分解してみると面白いことがわかります。殆どの電子製品は既に「モジュール構造」を持っていて、メーカーや製品が異なっても、中身には同じモジュールを使っている事が多い。つまり、既に僕たちが使っている電子製品の多くは、どんどん「プラモデル化」しています。

 「シーズ志向」のように新たなテクノロジーやアイデアで生み出された製品は、メーカーから利用者方向へのベクトルであり続けるでしょう。
 一方で、嗜好やニーズは、当然ですが人によって異なります。そして、コストや流通面の課題で成立しなかった、個々の嗜好やニーズに限りなく親和した製品を手にする未来がすぐそこにやってきていると考えています。それは、「モジュールはAIがつくり、モノと物語は人がつくる」、そんな未来なのかもしれません。僕たちの手元にあるすべての製品が”そうなる”とは考えていませんが、世界が共有し始めているSDGsというメッセージを論理思考に導入すると、僕の脳内に描かれる未来は、”そうなり”ます。

 勘違いしてもらいたくないのは(いや、別に良いけど笑)、これまでの産業構造やビジネス・スキームがポールシフトする未来を描いているわけではありません。製品製造と利用者の関係性が、新たに創造されるであろうビジネス・スキームに刷新されていくものだと考えています。

 DEOSランタンは、普通の蝋燭ランタンです。構造は至ってシンプル。誰にだって作ることができる。しかし、だからこそ、せっかく作るなら未来を描きながらつくりたい。そんなところです。

 この”まとめ”では、少々難解な論理を展開しましたが、詳細は別連載の「未来を予想するゾウ」で、記載していきます。


 長い連載になりました。
 モノをつくるって楽しいですよね。食べモノをつくる、服をつくる、経験をつくる、なんでも良いのですが、つくるって人間の知性の結集から生み出される素晴らしい能力です。この能力は使わないと勿体ない。
 モノをつくり終えたときの光悦は山の頂きまで到達したときと同じです。さらに言えば、”つくる”の先には”使う、使ってもらう”という物語が待っています。
 人間はどんどん便利なモノを発明しつくってきました。そしてロボットやAIが益々発達し、それらが情報で繋がり始めると、「作らなければいけないモノ」は制作に人間が関与しない時代がやってくるかもしれません。しかし、「作りたいモノ」がある限り、人はモノつくりという素晴らしい能力を発揮し続けると信じています。なぜなら、人間は自らの知性を使う歓びを知っているから。

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※この記事は「連載記事」です。

 

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