DEOS Tech note

人とモノの物語が、”つくる”の源

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触らずにグリグリできるデジタル地球儀をつくる(2)コンセプトを決める ー 2008年に作った装置「DEOS」のリノベーション

 実は、プロジェクト・コード「DEOS」の命名のキッカケになった装置があります。(コード名DEOS命名の背景はこちら) 

 その装置はDEOS Player(またはDEOS Hybrid mini)という名で、開発した2008年当時、Live!オーロラの”コンテンツ上映装置”として生まれました。一方で実現する技術がデジタル地球儀と近い内容だったため、GoogleEarthのようなアプリケーションを表示することで、”付加価値としてのデジタル地球儀”でもありました。 

※ DEOS Playerの初号機(2008年版)の様子

2008年版の初号機DEOSのしくみ
 2008年版の初号機DEOS Playerの基本的なしくみは、
  • 簡単に取り外し可能な、背面スクリーン用に特殊塗装したアクリル半球
  • 展示物向けにファームウエアを書き換えた小型のLEDプロジェクター
  • 魚眼レンズを小型筐体に収められるよう光軸設計したレンズ機構
  • プロジェクターからの熱を逃がす排熱機構
  • デバイスとしてのデザインを施し、可能な限り小型設計した筐体
等から構成されており、球体スクリーンに投影する映像は、外部端子に接続するPCから出力する、という構成です。また、機能では、おおまかに3つの目的の活用を想定していました。
  • Live!オーロラのドーム用映像(生中継・録画)のスクリーン上映
  • スクリーンを外して、同映像を室内壁面等へ全天上映
  • GoogleEarth等のデジタル地球儀コンテンツや、ドーム用コンテンツの上映
 DEOSは「あらゆる環境で本物のオーロラを体感できる」がコンセプトのLive!オーロラのコンテンツ・プレイヤー装置として2008年に開発しました。当時、商品化へ様々な調査や交渉等を重ねましたが「触れる地球」と同じように、プロジェクターやレンズ等のモジュール・コスト面の課題を解決できませんでした。しかし、商品化はできなかったものの、クライアント主催のいくつかの展示企画でお披露目できたので、モノとしての”生き様”は示せたと思います笑。
※ DEOS Player初号機(2008年版)とLive!オーロラとの関係
2008年~2016年まで9年間続いた「宇宙から見たオーロラ展」は初回からご一緒させていただきました。

10年以上前につくった装置を、「今」に合わせて魔改造リノベーション

 令和になり、DEOS Playerは倉庫で静かに眠っていましたが、山梨のログハウス修復を誘ってくれた友人から「古賀ちゃん、あの球体装置どうなってるの?ここに置かない?」と、何気なく問われてからリノベーション計画が始まりました。
 時代はIoTやAIといった次世代技術が全盛期に入り、家電やモバイル機器が遠隔で制御出来るなど、Live!オーロラで16年以上取り組んできた技術が一般に広がっています。DEOS Playerのようなレガシー装置は益々埃と共に永遠に眠ることになると思っていましたが、ふと考え直すキッカケになったのが、先の友人の一言でした。そうか、リノベーションすれば、今を生きられるモノに生まれ変われるかもしれない。

山梨のログハウス修復(リノベーション)と、IoTテストの畑

リノベーションのコンセプトは、「身近で、楽しむことも出来るホームIoTのgATEWAY装置」

 DEOS Playerのリノベーションでは「デジタル地球儀」は役割の一つと考えました。筐体の大きさが上下左右それぞれ30-40cmと決して小さくないサイズで、デジタル装置なのに”地球儀”の役割しかない事で「かさばって邪魔な装置」に成り下がることは避けたい。
 また、リノベーションでは小型のコンピュータの内蔵を前提にしたため、それほど普及してはいないホームIoTの機能もひとまとめにしてしまえ!という思考の流れで、「身近で、楽しむこともできるホームIoTのGateway装置」としてリノベーションすることにしました。
 その思考の元には、ホームIoTの装置が家電や役割毎に異なるメーカー製品を導入するケースが比較的多く、その結果、IoT操作で使うスマホアプリも複数になり、煩雑な操作が面倒で結局使わない。そんな本末転倒なシーンを散見していた、ということもあります。

ラズパイ4をコアに、音声コマンドで操作。音響装置としてのクオリティと、「触らずにグリグリできるデジタル地球儀」

 もう、機能盛々です笑。新DEOS Playerは、部屋にインテリアとして設置したい。地球儀として子供たちに触ってほしい。美しい音楽を奏でてほしい。ホームIoT装置のGatewayとして働いてほしい。つまり、「飾られ、遊べて、使えて、働く」装置が新DEOS Playerのコンセプトです。他の例えでは、「美しい音を奏でるインテリアにもなる、映像投影ロボット」とも言えます。

新DEOS Playerの利用シーンの想定図

 新型DEOSのリノベーションで「触らずにグリグリできるデジタル地球儀」以外の魔改造ロボット化は、それだけで結構なボリュームの作業でしたので、別記事でまとめます。ちなみに盛々機能リノベーションの中で、「高音質オーディオ装置」への魔改造が相当闇深い、いや、ドツボにハマりました(笑)。

前へ「触らずにグリグリできるデジタル地球儀をつくる(1)作る前に ー 地球儀の利用シーンを考える」

次へ「触らずにグリグリできるデジタル地球儀をつくる(3)グリグリする方法を考える」

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